EXHIBITIONS

さよならに、塩と胡椒

2018年9月15日(土)〜10月22日(月)
12:00〜19:00(金・土は20:00まで)火曜休場

黒田翔太 近藤南 杉岡みなみ 高山夏希
企画構成:坂田恭平

わたしたちが様々な場面で口にする「さよなら」は、伝える相手、場所、状況によって多様な意味が込められています。それらには共通して、「さよなら」を伝えることで他者を不在にし、共有した時間を自身の解釈によって、唯一の「味」を持った記憶へと変化させていると考えます。そして、その記憶は自らの身体に刻まれ、体験として蓄積されていくでしょう。


一方で、わたしたちの社会は情報化がさらに加速し、クラウドコンピューティングをはじめとして、あらゆる情報は電子化され、情報を保持していた本体ではなくインターネット上に蓄積されるようになりました。言い換えれば、物質から切り離された情報は、いわばオーラや魂となって、私たちの身体の周りに幽体的な状態で保存されているとも言えるでしょう。その状況は、スマートフォンやタブレットといった液晶画面を持つ媒体から、いつでも・どこでも情報を呼び出すことができる代わりに、情報を召喚するために画一化された物質だけを、わたしたちは求めるようになっているのかもしれません。


それに対して美術作品は、作者による様々な記憶が物質に内包されています。作者がこれまでに出会った人やもの、風景、出来事に告げた「さよなら」が、表現によって濃密な「味」を持った形となり、見る人の中にかつてあったもの、不在のありかを認識させます。見る人は作品に込められた「味」と自身がかつて体験した同じ「味」を探り、その時に味わった感覚をより強固なものとして、自身の記憶と身体に刻み込みます。それは、物質に情報を宿す上で、存在意義を見出すための重要な行為なのではないでしょうか。


本展は、記憶の定着を客観的・直接的な記録が難しい「味」と結びつけ、4人の作家がそれぞれの作品に込めた「さよなら」を、鑑賞者が味わうことで不在だった記憶を呼び起こし、作品固有の体験として再認識することで、現代の幽体化した情報の所在を明らかにします。それは、情報が膨大になったがゆえに埋没し、均質化してしまった現代にとって、実体性を捉え直す有効な手段となるでしょう。それぞれの作者が、作品を生み出す時に告げた「さよなら」を、ゆっくりと味わってください。

出品作家プロフィール

黒田 翔太

KURODA Shota

フォト

《冬×ふじやまプロジェクト》 2016-2018

1991年群馬県生まれ。東京理科大学理学部第一部数学科卒業。名古屋大学大学院多元数理科学研究科在学。作曲、即興演奏、DTM等の音楽活動の他、プログラミングや数学を通して表現を模索する表現開発者。問いの発明をテーマとしている。TRANS ARTS TOKYO 2013や、出身地である川場村冨士山集落など様々なアートプロジェクトに関わる。


近藤 南

KONDO Minami


フォト

《不意打ち》 2016 H60×W130×D150 陶、アクリルミラー、雲母、アクリル絵具

1990年富山県生まれ。2013年武蔵野美術大学造形学部彫刻学科卒業。陶を主に様々な素材を用い、自身の見た夢と現実の狹間の出来事を彫刻作品に変換している。主な展覧会として、個展「ゆめか うつつか まぼろしか」(2015年・Hasu no hana/東京)、美術手帖 presents「シブカル杯。」(2015年・渋谷PARCO/東京)、BankART アーティストインレジデンス2016(2016年・BankART Studio NYK/横浜)、SHIBUYA AWARDS 2017(2017年・東急東京メトロ渋谷駅コンコース/東京)SHIBUYA AWARDS 2017 ART部門 受賞作品展(2018年・Bunkamura Wall Gallery/東京)など。2015年第13回「1_WALL」グラフィック部門審査員奨励賞(白根ゆたんぽ選)、2018年SHIBUYA AWARDS 2017 綛野匠美賞受賞。


杉岡 みなみ

SUGIOKA Minami


フォト

《地下に潜る水は桜を巡り、氷は身体の所在を教える》
2015 1135×1815mm 綿布、胡粉、ジェッソ、水干絵具、岩絵具


1990年東京都生まれ。2014年多摩美術大学造形表現学部造形学科(日本画)卒業。2016年多摩美術大学大学院美術研究科絵画専攻日本画研究領域修了。人物をモチーフに、絵画を通して「他者との境界線」を表現する。主な展覧会として、個展「まぶたのきみ」(2015年・木之庄企畫/東京)、「アイトピア・ミュージアム」(2016年・みやぎ生協会館/石巻)、「60の顔」(2017年・麗人社ギャラリー/東京)、個展「昨日の光」(2018年・GALLERY b. Tokyo/東京)など。


高山 夏希

TAKAYAMA Natsuki


フォト

《Cosmetic Kosmos》 2016 H1300×W1000×D800mm ドレスにアクリル絵具、油彩、剥製

1990年東京都生まれ。2016年東京造形大学大学院造形研究科美術専攻領域修了。近代的な生活様式とは一線を画する人々の、動物や自然環境との関係を考察する。そうした考察の場を、鑑賞者を巻き込んだ「環境」として設定することで、自然と動物と人間が一体化した世界観を提示している。主な展覧会として、「Cosmetic Kosmos」(2016年・KOKI ARTS/東京)、個展「絡まり合う距離まで(藤井匡キュレーション)」(2016年・sagio/東京)、IDEE Life in Art「space time continuum」(2016年・IDEE SHOP Midtown/東京)、「RIPPLE」(2017年・SLOW HOUSE 天王洲/東京)など。2016年神山財団支援プログラム成果展大賞、2016年アートアワードトーキョー丸の内2016 後藤繁雄賞受賞。

関連イベント

■オープニングパーティー
9月15日(土)18:00〜20:00

■トークショー「言葉の匙」
9月22日(土)17:00〜18:30
出演:三角みづ紀(詩人)、坂田恭平(本展キュレーター)
本展タイトルの引用元となった詩の制作者である詩人の三角みづ紀氏をお招きし、味覚と記憶の関係性についてお話しします。
参加無料・予約不要

■絵画と菊地敦子によるパフォーマンス「肌理/under my skin」
10月6日(土)16:00〜16:30 18:30〜19:00
10月7日(日)16:00〜16:30 18:30〜19:00
観覧無料・定員各回50名 ※ご予約は下記サイトからお願いいたします。
https://peatix.com/event/409919絵・構成:杉岡みなみ
身体:菊地敦子
演出:久世孝臣

■アーティスト・トーク「『さよなら』について」
10月20日(土)17:00〜18:30
出演:黒田翔太、近藤南、杉岡みなみ、高山夏希
聞き手:坂田恭平
参加無料・予約不要

INFO

開場時間 12:00〜19:00(金・土は20:00まで)
休場日 火曜日
入場料 無料
アドレス 〒101-0021
東京都千代田区外神田6-11-14 3331 Arts Chiyoda 201・202
TEL/FAX 03-5812-4558
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